先日、こんなことがありました。
まだ授業前の平日のある日、ひとりのお母さんが見えました。
数年前に中学3年生だった生徒の保護者の方で、
「先生にお礼を言いたくて・・・・」
とのことでした。
はて、なんのお礼かな。。。。と頭を思いめぐらせながら・・・・・
高校受験に合格したことのお礼だろうか。。。。
いや、それはもう確か3年以上前の話だし、
そのとき工業高校に合格して、それ以来ご無沙汰でもあったし・・・
と思っていると、
「息子が進学に決めたんですけど、無事に大学に合格しまして。それがびっくりするような大学でして」
「それはそれは、おめでとうございます」
とは言うものの、
高校時代は一度もその生徒とは会ったことはありません。
ただ、お母さんの話によると。。。。
彼は中学生活、2年近く不登校でした。
そのため、学校の先生からは受験に関して厳しく当てられ、
「全日制の高校は無理だ。お前はここに行くしか道がない」
と通信制の私立高校を専願にしなさいと言われていました。
当時、お母さんから相談された私は、
そこならば専願で行くのはもったいない、併願でも受かりますよ、と返答しました。
そして、
「全日制の公立高校の合格も十分確率はあります」と伝え、工業高校の受験を薦めました。
それをお母さんが学校に伝えると、
「なんていうことを塾は言うんだ。。。」と漏らしながらも渋々承知したそうです。
確かに内申は厳しいかもしれませんが、
実力テストではしっかりと点数がとれていたので公立高校の受験を薦めました。
学校側としては、どうしても安全な道を渡りたかったのでしょう。
その気持ちはわかりますが、生徒の前向きな気持ちを蹂躙してしまっては。。。。
学校教育の、個々に目を向けることへの限界の証左と言ってよいでしょう。
結果、無事に合格しました。
その後、入学式に臨んだ彼は、
卒業生の進路先に国立大学があることを知り、
「そこへ行きたい」と家族に宣言したそうです。
そのためには校内で1番をとることが必要条件でした。
ずっと3番だったそうですが、
2年の3学期に2番になり、
3年の1学期でやっと1番をとり、
無事に学校から推薦をもらえたそうです。
そうして国立大学の一般推薦に臨み、
11人中6人しか合格にはならなかったそうですが、
その中の1人に入り、無事に合格を勝ち取りました。
お母さんが当時のことを振り返り、
「あのとき、工業高校の受験を薦めてくださって本当にありがとうございます」
とのことでした。
いい話だなあと思ったのはもちろんですが、
生徒本人の努力は並大抵のものではなかったことでしょう。
並々ならぬ努力の賜物でもあり、初心を貫いた意志力が成功へと導いたのだと思います。